分散投資とは、「投資におけるリスクを分散させる」ことを言いますが、一般的な解釈としては、中長期等の長い期間での視点から分散投資を考えることが多いようです。
例えば、《投資した企業の突然の倒産》、あるいは《業績の悪化》などによる投資の大きな損失が実際に起きてもリスクを軽減させるために、予め投資対象の分散を行います。
しかし、比較的短期間のトレードである、スイングトレードで考える場合、長期の場合とでは、その内容は違って来ます。
スイングトレードの分散投資とは、主に”2段階に分けたもの”を指します。
それは【セクター】と呼ばれる業種別に対するもの、そしてもう1つがポジション取得後の【利乗せ(増し玉)】や【分散利確】と呼ばれる方法です。
資金力のある投資家と、個人投資家のトレード方法が異なるように、投資の期間によりこの分散投資の方法も違ってきます。
今回の内容は『スイングトレードの観点から2段階に分けた効果的な分散投資の方法』を解説していきます。
Contents
分散投資(ダウンサイジング)
分散投資とは平準化のことです。損失を軽減できますが、同時に利益も軽減されてしまうことでもあります。
但し、分散投資の効果は経済学では立証されていることも事実です。
ウォール街の達人もウォーレン・バフェットもこの分散投資を行うことで巨万の富を得ています。
しかし、流石にそこまで考えられなくても、個人のトレーダーであっても銘柄を分析した上で効果的な分散投資を行うことから利益率を高めることが出来ます。
スイングトレードの分散投資
長期投資の場合、基本的に何度も売買を繰り返すことはありませんが、スイングトレードの場合は、売買数が多いのでこの特徴を分散投資に活かすことが出来ます。
方法としては2段階に分けた分散投資の考え方になります。
最初の段階が業種別(セクター別)で考える分散投資。
そして2段階目に利乗せ(増し玉)、または分散利確を行って行きます。
※)この2段階での分散投資の前提として、個別銘柄の分析から買いのサインが出ていることが仕掛ける条件となります。
業種別分散投資
※33の業種別【四季報オンライン】⇒https://shikiho.jp/services/Query?SRC=shikiho/market/sector/base
証券業界では個別銘柄は33の業種に分けられています。
ここで、なぜ、業種別の分散投資を行うのかと言いますと、資金力のある投資家(機関投資家や外国人投資家等)が個別銘柄とは別に、この33の業種別に対しても多くの資金を投資してくるからです。
当然、日経平均株価の動きとは別に業種別にはそれぞれ景気の波や需給がある訳で、それらはチャートなどから現在の業種別の相場を見ることが出来ます。
チャート参考サイト⇒ http://www.sectorchart.com/
また、この業種別の相場の特徴として、例えば、全体相場である日経平均株価が上昇していてもある業種だけは下落しているということがよく起こります。
日々の業種別ランキングを見ると「昨日は上昇率が上位にランクされていた業種なのに、今日は下位の方にランクされている」というようなことは実際に相場では起こります。
このようなことは、長期投資ならば長い目で見ることが出来ますが、スイングトレードは10日前後でポジションをクローズする短期売買の手法ですから、業種別の相場の波によってはリスクを取らされてしまうことがあるのです。
そこで、複数の銘柄のポジションを持つ際には、リスクを分散させるためにも仕掛ける各銘柄をそれぞれ相関性の低い業種別に分けて分散投資を行うことになるのです。
例えば、3つの個別銘柄を仕掛ける場合は、それぞれ相関性の薄い業種、《建設業》、《保険業》《通信・情報》などに振り分けて分散投資を行うなどの投資方法になります。
注意点としては、仕掛ける業種別の相場観も上昇相場中であるかどうかを分析内容として取る入れることです。
業種別の各チャートの内容を『業種別チャート』などから確認して「今どの業種が上昇相場中なのか?」または、下降相場中の業種を知ることで、仕掛ける銘柄リストから予め外していきます。
(相関性:例えば、保険、不動産、銀行、証券会社などは同じ金融カテゴリーとして位置付けされやすい業種です。その他、為替により影響を受けやすい輸出入関係の業種カテゴリーが存在します。)
利乗せからの分散投資(分散利確)
業種別に仕掛けポジションを持ちましたら、次に行う分散投資が、利乗せ(増し玉)、または分散利確です。
これらもすべて日経平均株価の動向と個別銘柄の分析によって行います。
例えば、チャート分析から考えますと、分散投資の最初の段階では、株の買い方の基本である“上向きの75日移動平均線を株価が下から上に抜けたとき”に1000株買います。
そして、次の分散投資である利乗せを更にチャート分析を使って買いのサインを確認した上で、もう1000株買って行くという手順です。
また、日経平均株価や、個別銘柄が下降相場になったときは、持っているポジション1000株の半分の500株を利確するといった分散利確の方法があります。
(仕掛けた後の分散利確の例として、東証の寄付き前に日経平均先物が大きく下落しているときに、例えば保持しているポジションの半分を”寄付成行注文”から決済するという分散利確はよくあるトレード手法です。参考記事はこちら⇒ http://kabu-gensoku.com/knowhow/sakimono-cme/)
分散投資の基本は個別銘柄の分析
改めて再度確認の意味で話しますと、スイングトレードでの『2段階の分散投資』において、その前提となるのが個別銘柄のチャート分析です。
第1段階として業種別に振り分ける前には、まず、「仕掛ける銘柄が分析結果から買いのサインを出しているか?」
そして、利乗せを行うときも必ず分析による買いのサインが出ていることが分散投資をする流れの前提です。
トレーダーとしては、もっともなことですが、とても大事なことです。
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分散投資のメリット
分散投資のメリットは、やはり「投資資金を守りやすい」こと。そして、分散をしている分だけ「相場に対してメンタル的に落ち着いていられること」が挙げられます。
またスイングトレードの場合で考えると、売買の数が多いので「分析スキルが高いほど効果の出やすい分散投資を平行して行うことが出来る」点です。
分散投資のデメリット
デメリットの主な理由に、分散投資によって、仕掛ける銘柄が増えることで、トレードに対する集中が欠けやすくなるということがあります。
実際にトレードをしてみると分かりますが、仕掛ける銘柄が増えてくると1つ1つの銘柄にフォーカスすることは本当に難しくなることは事実です。
当たり前のことですが、個別銘柄のトレンドとは、ほとんどが同じ時間帯に訪れるからです。
これは相場やトレードの宿命なのかも知れませんが、トレーダーは複数の銘柄に時間を取って順番にトレードすることは物理上できないのです。
ですから、銘柄を絞った方がトレードに集中でき銘柄の管理がしやすくなることは明らかです。
私も、スイングトレーダーとして銘柄を5つも持てば「もう一杯一杯」という感じです。とてもそれ以上の銘柄を持てばトレードに集中できません。
分散投資の本来の意味
分散投投資の本来の目的は、『投資先を分散させることで資金を守り、分析による利乗せ等から効果的なトレードを行うこと』が目的とならなくてはなりません。
しかし、中には分散投資が利益率を上げるためという本来の目的から外れ、いざトレードに負けたときに起こる心の痛みを少しでも和らげるために分散投資を行っているトレーダーが多いことも事実なようです。
もし、分散投資を行う際にはトレードの効果や利益を上げるためのものではなく、「トレードに負けたときに起こるネガティブな感情に背を向けるために分散投資を考えてはいないか?」トレード前をする前に、もう1度自問してみることが大事なようです。
分散投資を必要としない“天才”(彼らだけに許される1点買い)
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分散投資の必要性について「卵は一つのカゴに盛ってはならない」との有名な格言がありますが、トレーダーの中には分散投資を必要としない天才が稀に存在します。
彼らも、はじめは、なかなかトレードに勝てず普通に分散投資を行っていたようですが、負けを重ねながらもだんだんと勝てるようになりトレードの約7割、8割以上の勝率を出せるトレーダーへと成長していったそうです。
そんな約7割以上勝てるトレーダーに分散投資が必要あるでしょうか?
彼らは天才です。努力の末に天才と呼ばれるようになったとはいえ、このような負けないトレーダーというのはごく一握りです。
彼らだけが、勝ち続ける以上、分散投資に対し無縁でいられるようです。
一般は“確実”を求め、プロは“確率”で決断する
分散投資をあまりやらないトレーダーは、長いトレード生活から得た経験から、銘柄を絞ってトレードをした方に利益が出やすいという結果を得ているのでしょう。
もちろん銘柄を絞ることで集中できたり、またメンタルもさぞかし強いのだと思います。
しかし、ただ1つ言えることは、相場の世界では、「一般は“確実”を求め、プロは“確率”で決断する」ということです。
分散投資は必要か?
多くのトレーダーが天才でない限りは(私も含め)分散投資を利用すべきです。
前述したようにウォール街の達人たちも分散投資を行っていることからもそれは結論づけられると思います。
分散投資を必要としないトレーダーは、極一握りの””天才だけなのですから。
まとめ
- 分散投資とは「損失額を減らすことが出来るが、利益額も減ってしまう」平準化であること
- 長期投資と短期売買であるスイングトレーダーの分散投資の内容は違う。
- スイングトレードの場合、最初の【業種別】と次の【利乗せ】による2段階に分けた分散投資を行うが、個別銘柄の分析スキルにより更に効果的なトレードを行うことが出来る。
- 個人の主観にもよるが、通常のスイングトレードの場合は管理できる銘柄の数として3銘柄前後が相当。
追伸)
・スイングトレーダーの利乗せはドルコスト平均法のようなある一定の期間ごとの投資とは違います。
相場の大きな流れである日経平均株価の動向を読みながらテクニカルトレーダーとして独自のチャート分析から利乗せのタイミングを見計らうのです。
これがトレーダーとして腕の見せ所です。
しかし、そうは言っても、実際には利乗せはとても怖いものです。
相場が上昇傾向にあるのだから、「正しいトレードを行おうとしていることは論理的に間違っていない」と頭の中では理解はしても、利乗せした場合は資金のリスクを取らなければならないのですから、
だからこそ、利乗せの分散投資から最終的に大きく利益が取れたときは、決して大げさな話ではなく「テクニカルトレーダーの冥利に尽きる」訳です。
基本的には「利乗せよりも早く利食いを選択したい」のが人情です。
なぜなら利益が乗っていれば株価が下がらないうちに利確をすることで、早くトレードの不安感から逃れたいからです。
これが、一般的な考えです。ウォール街の達人も同じだと思います。
しかしそれでも利食いに踏み切り勝利を得たトレーダーは、その苦しかった時間のギャラとして利益が支払われます。
本来利乗せは”きつい”ものです。
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