ダウ理論は、プロの投資家の【暗黙のルール】であると言われています。
歴史はとても古く、1884年に証券アナリスト・ジャーナリストであったチャールズ・ダウ氏により発表されました。
しかし、このダウ理論。現在までに公開された手法内容のほとんどが「3種類のトレンド」「3段階からなる主要トレンド」等の手法であり実践から現代の相場に通じるような効果的な手法はほとんど公開されていません。
そこで、私が過去に習ったこと、私独自の解釈を交え、今回【基本・本質・応用実践/編】の《3部構成》からなるダウ理論を解説していきたいと思います。
ダウ理論とはローソク足とチャート上での理論があり、ともに高値と安値を連動させ考えることで未来の株価の推移を分析する指標です。
ダウ理論を学ぶとき、「高値と安値どうしを連動させる」という考え方をいつでも思い出すことで理解が早くなります。
また、ダウ理論の基礎について理解できるようになりましたら、高値よりも安値に目を向けて学んでください。
なぜなら、株価上昇には安値の切り上げが欠かせないからです。
(ダウ理論は5分足等の分足から日足・週足・月足・年足すべての足に使えます。解説については基本足であり最も多くのトレーダーが実践で使う日足のチャートを主に使います。)
ダウ理論に入る前に1つ覚えてください!
高値から安値までの株価の動きを「投資家の意思の表れ」といいます。
ダウ理論を学ぶほどにこの意味が理解できるようになります。
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ダウ理論の上昇・下降・持ち合い
では、本題に入ります。
ダウ理論には上昇と下降があります。
•「次の高値は前の高値より高く、次の安値は前の安値より高い」
ダウ理論下降
•「次の高値は前の高値より低く、次の安値は前の安値より低い」
↓下図チャートはダウ理論上昇成立である昨日と今日のローソク足を使いそれぞれの一日の内容(株価の動き)を下図で表しています。
(※ダウ理論について分からなくなった時はいつでもこのチャート図を思い出してください。)
終値・始値ではなく高値・安値どうしを連動させて未来の株価の推移を考えるのがダウ理論です。
ローソク足での上昇・下降
ダウ理論は《ローソク足レベル》で考えるものと、《チャートレベル》で考える2通りに分けて考えることができます。
一般的にダウ理論の解説においては、チャートに関する定義だけで終始する内容がほとんどですが、
実はチャートと同様にローソク足でのダウ理論も非常に大事なってきます。
特に、デイトレ-ド、スウィングトレードまたは日経平均株価の動きを指標とした株式個別銘柄のトレードやFXなどでは、
ダウ理論におけるこのローソク足を使ったトレード手法は大きな威力となります。
ローソク足レベルダウ理論上昇
↓日足の2本のローソク足で考えます。
左のローソク足は前日の市場での値動きを示しています。
この前日の高値と安値に注目してください。
高値は800円、安値は770円になります。
では今日の高値と安値に注目してください。
高値は820円、安値は780円です。
ダウ理論では、この2本の日足のローソク足で考えると、
「今日は前日に対してローソク足レベルダウ理論上昇成立」となります。
始値・終値、ヒゲの長さ、陽線・陰線は関係ありません。
あくまでも、高値と安値のみで判断します。
また、ダウ理論上昇成立とは上昇相場と定義され(買い)ポジションを取ります。
これがダウ理論の考えになります。
ダウ理論上昇を、もう一度言います。
「次の高値は前の高値より高く、次の安値は前の安値より高い」
ローソク足レベルダウ理論下降
ダウ理論下降は、上昇の場合と逆になります。
「次の高値は前の高値より安く、次の安値は前の安値より安い」です。
↓日足の2本のローソク足で考えていきます。
「今日は前日に対してローソク足レベルダウ理論下降成立」になります。
また、ダウ理論下降成立とは下降相場と定義されポジションがある場合は売り決済します。
※ダウ理論下降成立⇒下降相場と定義⇒売り決済
今度は、次の2つのローソク足のダウ理論について考えていきます。
※これからがダウ理論のポイントになります。
これは「今日は前日に対しローソク足レベルダウ理論上昇成立」になります。
但し、今日の終値が前日の終値より下がっています。
一般的には、「今日は(前日に対し)株価が下がった」ということになりますが、
ダウ理論では上昇成立になりますので、上昇相場と定義されます。
ちょっと腑に落ちないと思いますが、実はこの考え方こそが、ダウ理論の真髄であり、実際の売買やポジショニングに対し効果を発揮します。
ダウ理論とは、終値ではなく高値と安値を判断材料に、今後の投資を考えるという手法です。
※ダウ理論は日足以外に、5分足・10分足・週足・月足等でも同じように定義できます。
ローソク足の持ち合い
次のローソク足が、前のローソク足に対してダウ理論上昇・下降以外の場合は持ち合い(もみあい)となります。
例えば、左のチャートでは1番左のローソク足に対して3日間持合いが続いています。
右のチャートでも1番左のローソク足に対して3日間持合いが続いています。
※この(ダウ理論ローソク足レベルでの)持ち合いという考え方、他の指標MACDなどではサインを読み取る場合に使われます。
MACDについての参考は
⇒ http://kabu-gensoku.com/text/text-macd/
持合いからのダウ理論上昇成立
1番左のローソク足に対して3日間持ち合った後、4日目にダウ理論上昇が成立しています。
持合いからのダウ理論下降成立
左のチャートは1番左のローソク足に対して4日間持ち合った後、5日目にダウ理論下降が成立しています。
右のチャートは1番左のローソク足に対して7日間持ち合った後、8日目にダウ理論下降が成立しています。
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今度はチャートを使ったダウ理論に入ります。
チャートでの上昇・下降
※チャートレベルダウ理論もローソク足でのダウ理論と同じです。
チャートレベルダウ理論上昇
- 「次の高値は前の高値より高く、次の安値は前の安値より高い」
チャートレベルダウ理論下降
- 「次の高値は前の高値より低く、次の安値は前の安値より低い」
チャートレベルダウ理論上昇
チャートでのダウ理論を説明します。
チャート上で考えると、「次の高値は前の高値より高く、次の安値は前の安値より高い」ので、「チャートレベルダウ理論上昇成立」となります。
この場合上昇相場と定義され(買い)ポジションを取ります。
始値・終値、ヒゲの長さ、陽線・陰線は関係ありません。
あくまでも、チャート上の高値と安値のみで判断します。
※チャートレベルダウ理論上昇成立⇒上昇相場と定義⇒ポジションを取る
例)
チャートレベルダウ理論下降
「次の高値が前の高値より低く、次の安値が前の安値より低い」ので、「チャートレベルダウ理論下降成立」となります。
始値・終値、ヒゲの長さ、陽線・陰線は関係なく、あくまでも、チャート上の高値と安値のみで判断します。
ローソク足レベルダウ理論下降成立と同様に
チャートレベルダウ理論下降成立とは下降相場と定義されポジションを売り決済します。
※チャートレベルダウ理論下降成立⇒下降相場と定義⇒売り決済
例)
チャートでの持ち合い
下図は、持ち合いのチャートです。
“ラッパ”と言われる三角持ち合い
“逆ラッパ”と言われる三角持ち合い
“BOX”と言われる持ち合い
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ダウ理論の基本・実践編
ローソク足を使った売買
ダウ理論の売買手法と言いますと必ずチャートレベルの手法と考えがちですが、
実はローソク足レベルで考えるダウ理論こそ、あらゆる相場の局面において使われる非常に大事な売買手法になります。
一般的になぜ、チャートレベルに比べて、ローソク足レベルのダウ理論がなおざりにされているのかとても不思議です。
ローソク足レベルでのダウ理論は、他の指標との組み合わせだけでなく、
ローソク足の動きのみでダウ理論を考えることができる手法から、その効果を発揮することができるのです。
また、ローソク足を使った売買手法は、チャートレベルを含めたダウ理論すべての売買で用いられる基本となります。
ローソク足を使った買い
↓日足のローソク足を使って説明します。
上図は今日のローソク足です。
「明日、株を買いたい」がダウ理論を使い今日の株価に対してどのような注文方法を取ればいいでしょうか?
ダウ理論上昇の定義が「次の高値は前の高値より高く、次の安値は前の安値より高い」になるので、
注文方法は「明日の株価が、今日の高値を抜けたら買う」になります。
これは、ダウ理論ローソク足を使った注文方法の基本となりますので必ず覚えてください。
実際の明日の注文では、今日の高値より1つ上の呼値で買うことで、
ダウ理論上昇・下降・持合いの中で、ダウ理論下降を払拭でき、
明日のポジションをダウ理論上昇成立か、
または持ち合いの状態で終わることが出来る注文方法です。
例)
例えば、「今日の高値が7762円の場合、ダウ理論を使い明日株を買う」としたら、
今日の高値の1つ上の呼値で買いますので、明日の注文方法は7763円に逆指値で買い注文をします。
※注意) 呼値は株価や銘柄により売買単位が変更します。
翌日、高値7851円・安値7762円を付けましたので約定しています。
この場合、翌日の株価の始値が前日の高値に対して、上に超えて始まっていますので、
実際には株価が逆指値7763円を下から上に抜けたわけではありませんが、
高値の1つ上の呼値の逆指値注文に対して約定してくれればいいのです。
∴ダウ理論ローソク足を使った約定の例
一番右のように約定後に終値を下げる場合もありますが、1つ上の呼値に逆指値注文することでダウ理論では上昇か、持ち合いで終始します。
ローソク足を使った売り
今度は保持している株をどのようにダウ理論を使って売れば(決済すれば)いいのでしょうか?
ダウ理論が上昇している間は上昇相場になり、基本的にはポジションは保持ですから、
売りのロスカット値の設定はダウ理論下降成立時となります。
注文方法は、「明日の株価が今日の安値を割ったら売る」になります。
今日の安値より一つ下の呼値で売ることで、明日の株価は、今日の株価に対してダウ理論下降、または持ち合いで終始します。
例)
例えば、今日の安値が2811円の場合、ダウ理論を使い明日株を売るとしたら、安値の1つ下の呼値で売りますので、
明日の注文方法は2810円に逆指値で売りの注文をします。
翌日、高値2821円・安値2803円を付けましたので約定しています。
この場合、翌日の株価の始値が前日の安値を下から超えて始まっていますので、
実際には翌日の株価が逆指値2810円を上から下に割ったわけではありませんが、
安値の1つ下の呼値の逆指値注文に対して約定してくれればいいのです。
※このローソク足を使った売りは主にロスカット設定や空売りの注文方法に使われます。
以上がローソク足を使ったダウ理論の基本売買となります。
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ローソク足の持ち合いからの売買
ローソク足の持ち合いからの買い
ダウ理論では持ち合っている間に基本的にはポジションは持ちません。
持ち合ったローソク足での中から高値を抜けたら買いになります。
実際の売買では、高値の1つ上の呼値に逆指値で買いの注文をします。
(※買い方はローソク足を使った買いのときと同じです)
ローソク足の持ち合いからの売り
持ち合ったローソク足の中から安値を割ったら売りになります。
実際の売買では、安値の1つ下の呼値に逆指値で売りの注文をします。
(売り方はローソク足を使った売りのときと同じです)
ローソク足の持ち合いでのポジショニング
持ち合っている場合、その後のトレード内容はその時のポジションの有無によりそれぞれのダウ理論の判断基準があります。
チャートを使った売買
チャートを使った買い
↓「チャートレベルダウ理論上昇成立」のチャートです。
安値を切り上げ前の高値より高くなったら(前の高値を更新してきたら)
チャートレベルダウ理論上昇成立により上昇相場と定義され、
上図では前の高値の赤の水平ラインを抜けたら買いになります。
実際の売買では、前の高値が6100円ですから
1つ上の呼値の逆指値注文で買いますので、
6101円に買い逆指値注文になります。
例)ダウ理論チャートを使った買い
チャートを使った売り
↓「チャートレベルダウ理論下降成立」のチャートです。
高値を切り下げ前の安値より安くなったら(前の安値を更新してきたら)
チャートレベルダウ理論下降成立により下降相場と定義され、
上図では前の安値の赤の水平ラインを割ったら売りになります。
実際の売買では、前の安値が2180円ですから
1つ下の呼値で売りますので、2179円に売り逆指値注文になります。
例) ダウ理論チャートを使った売り
チャート上での持ち合いからの売買
チャート上での持ち合いからの買い
三角持ち合い後、チャートレベルダウ理論上昇の形です。
チャート上での持ち合いからダウ理論上昇成立で買います。
安値を切り上げ、前の高値より高くなったら(前の高値を更新してきたら)
チャートレベルダウ理論上昇成立により上昇相場と定義され、
上図では株価が前の高値の赤の水平ラインを下から上に抜けたら買いになります。
この場合も前の高値に対して1つ上の呼値で逆指値買い注文をすることでポジションを取ります。
(※ポイント)
長期の持合いから脱してダウ理論上昇成立をしていくと株価は強い動きが見られる場合があります。
チャート上での持ち合いからの売り
三角持ち合い後、チャートレベルダウ理論下降です。
チャート上での持ち合いからダウ理論下降成立で売ります。
高値を切り下げ前の安値より低くなったら(前の安値を更新してきたら)
チャートレベルダウ理論下降成立により下降相場と定義され、
上図では前の安値の赤の水平ラインを割ったら売りになります。
ポジションを保持している場合、前の安値の1つ下の呼値で逆指値売り注文により決済を行います。
例)
まとめ ダウ理論の売買の基本
ダウ理論を使った基本的なポジションの取り方になります。
※ローソク足レベル・チャートレベル共にポジショニングの考え方は同じです。
【重要】
ポジションなしの場合
- ダウ理論上昇成立により上昇相場と定義され(買い)ポジションを取る。
- 持ち合いによりポジションを取らない。
- ダウ理論下降成立により下降相場と定義されポジションを取らない。
ポジションありの場合
- ダウ理論上昇成立により上昇相場と定義されポジションを保持(また更にポジションを取る場合もあり。)
- 持ち合いによりポジションを保持する。(また更にポジションを取らない。)
- ダウ理論下降成立により下降相場と定義されポジションを決済する。
>>次のページは
【ダウ理論・本質編】
これで第1部の【ダウ理論基礎編】は終わりです。次は第2部【ダウ理論・本質編】になります。本質編では、株価上昇には高値更新よりも実は「安値更新(安値の切り上げ)」の方が重要なこと、また株価が上昇しているのに「なぜダウ理論では下降…!?」と定義するのか?それぞれのダウ理論のメカニズムを探っていきます。
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