証券業界は歴史が古くそのためか難しい証券用語で溢れています。
このような用語は、株式投資では決して全て覚える必要のないものと思いますが、今回の題材である指値注文・成行注文・逆指値注文は特に直接お金に関わるものでもありますから内容を含め必ず覚えなくてはなりません。
基本的には逆指値注文をマスターすることが何よりも重要なことです。
また、この3つの注文方法の前提にあるのが逆張り・順張りという投資方法です。
この2つの投資方法の流れから、この3つの注文方法を学ぶことで注文管理を行い最終的にはしっかりとした資金管理へとつなげることが出来ます。
今回の内容は注文方法だけではなくその根底にある、逆張り・順張りという流れを知ることで「どのような相場に対しても、3つの注文の中から効果的な注文方法を選択できるようになること」が目的となります。
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Contents
指値注文・逆指値注文・成行注文
投資家・トレーダーが使う注文方法には、主に【指値(さしね)注文】・【成行(なりゆき)注文】・【逆指値(ぎゃくさしね)注文】の3つの注文方法があります。
これから、この3つの注文方法を解説していきますが、その前にこれらの注文方法を理解しやすくするためにまずは覚えて欲しい投資方法があります。
逆張り・順張りの2つの投資方法
それは、順張りと逆張りという2つの投資方法についてです。
一般的な株の買い方として、「株は安いときに買って、高くなったときに売る」ことでその差額からの利益を狙います。
これを逆張りと言いますが昔からある投資方法ですね。
そして、順張りとは、「株価に上昇の兆しが現れたときに今現在の株価よりも高くなったときに買い利益を狙って行く」方法になります。
(「高くなったら買う???」とは、ちょっと意味が分からないかと思いますが、【『逆指値・指値注文』の違いを”株の初心者”でも分かりやすく解説】で詳しく解説していますので参考にしてください。)
すなわち、
- 「逆張りは今の値段よりも、安くなったら買う」
- 「順張りは今の値段よりも、高くなったら買う」
ということです。
この2つの異なる投資方法は株の売買のそれぞれ投資期間による違いでもあります。
例えば、配当などのインカムゲインを狙った比較的のんびりした長期保有型の投資方法であれば、なるべく株価が安いときを狙って買いたいと思いますので逆張りから売買をしていきます。
逆に短期売買であるスイングトレードなどであれば信用取引からの投資資金を効率的に使って行くためにも既に上昇している銘柄を狙った順張りからの投資方法を主体とするでしょう。
このように投資期間の違いにより投資方法がそれぞれ逆張り・順張りに分かれやすいと考えていいと思います。
そして注文方法ですが、逆張りで使われやすいのが指値注文、そして順張りで使われやすいのが逆指値注文になります。
投資期間によって注文方法が、必ずはっきりと分かれる訳ではありませんが、やはりそれぞれ効果の出やすい注文方法を選択することが株式投資では有効な投資方法になるのです。
そして最後の成行注文ですが、長期保持型である逆張りや、短期売買型である順張りの両方に使われる注文方法です。
では、指値・逆指値・成行の注文方法に入る前に、逆張り・順張りについてまとめてみたいと思います。
逆張り
長期保持型のため「株価が安いときに買って高くなったら売る」ことを目的とする。
分析方法も世の中の景気や企業内容などから分析するファンダメンタルズ分析が多い
順張り
短期売買型のため「上昇トレンドから今の株価よりも高い値段で買い利益を狙う。」
分析方法は主にテクニカルトレーダーと呼ばれるチャートを使ったテクニカル分析が多い。
逆張り・順張りのまとめ
- 長期保持型 ⇒ ファンダメンタルズ分析 ⇒ 逆張り ⇒ 指値注文
- 短期売買型 ⇒ テクニカル分析 ⇒ 順張り ⇒ 逆指値注文
以上のように繋がっていると考えてください。
長期保持型の投資方法は主にファンダメンタルズ分析から、株価が安くなった時を狙い買って行きますが、短期売買型はチャートを使ったテクニカルトレーダーが多く、株価が安くなるまで待ったり、また株価が安くてもいつ上昇してくるかわからないような銘柄よりも、今現在上昇している銘柄を買って行き利益を取る方法の方が資金効率もよく、テクニカル分析も行いやすいという流れが株式投資の世界には存在していることを事前に知っておくと今回のコンテンツ内容への理解が早いかと思います。)
指値注文とは、「今の株価よりも安いときに買って高くなったら売る方法」です。
例えば今の株価が1000円だとした場合に、株価が800円よりも安くなったら買いたいと思うときの注文方法は800円に買い指値注文することになります。
このとき、800円で株を買えたとして今度は株価が1200円になったときその株を売りたいと思ったら1200円に売り指値注文をします。
もし売り指値注文が約定した場合は400円(1200円-800円=400円)の利益となります。
逆指値注文
逆指値注文とは、今の株価よりも高い値段になったら買い安くなったら売る(※損切のこと)方法です。
例えば、今の株価が1000円だとした場合に株価が1200円になったら買いたいと思うときの注文方法は1200円に逆指値注文をすることになります。
このとき、1200円で株を買えたとして、その後株価が下降してしまった場合に800円で損切を考えたとすると800円に売り逆指値注文をすることになります。
もし、株価が下降し売り逆指値注文が約定した場合は400円(1200円-800円=400円)の損失となります。
また、株価が上昇して1400円になったときに売りたいと考えた場合は(今の株価よりも高い値段で売ることになりますので)1400円に売り指値注文となる訳です。
売り指値注文が約定した場合は200円(1400円-1200円=200円)の利益となります。
指値注文・逆指値注文のまとめ
ちょっとややこしいと思うでしょうが、もう1度おさらいしますと、
- 「今の株価よりも安く買いたい場合は ⇒ 買い指値注文」
- 「今の株価よりも高く買いたい場合は ⇒ 買い逆指値注文」
- 「今の株価よりも高く売りたい場合は ⇒ 売り指値注文」
- 「今の株価よりも安く売りたい(損切のとき)場合は ⇒ 売り逆指値注文」
となりますが、これは証券会社の設けた売買システムが基本的な注文方法となっています。
また、指値注文・逆指値注文は特に「いくらで買うか?」という値段を優先させる売買方法になります。
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成行注文とは、今すぐに買いたい、あるいは売りたい場合に使う注文方法ですので、指値・逆指値のような注文時での値段の設定は行えません。
例えば、すぐに株を買いたい場合は買い成行注文、すぐに売りたい場合は売り成行注文となります。
但し、成行注文で気を付けなければならないことがあります。
それは、買い成行注文をした場合にはマーケットは1番安い売り注文から約定していきますが、これが売買数の少ない銘柄ですと、株価とは離れた価格での約定となってしまうことがあります。
仮に株価が100円だとして、1番安い売り注文が105円だったとした場合には105円での約定となってしまいます。(株価も105円となります)
このようなことを避けるために板情報から売りの注文内容を見て売買をすることもできますが、スイングトレードならやはりある程度の売買数のある銘柄を選びたいところです。
※板(気配値)からの値段別「売り・買い」の注文状況を確認する方法については『 “板読み!”株をやる以上”スイングトレーダー”でも知っておきたい知識を解説! 』が参考になりますので、短い記事内容ですが、ぜひ目を通していただきたいと思います。
さて、成行注文は、逆指値注文を多く使うようなテクニカルトレーダーなどからすると普段あまり使われることのない注文方法ではありますが、場合によってはとても効果的な役割を果たしてくれます。
例えば、暴落などの相場においてポジションを早くクローズしたい場合には、マーケットの方も多くの売買が行われ、また同時に株価も大きく、そして早く動くために指値注文や逆指値注文からではなかなか約定しません。
しかしそのような荒れた相場であってもこの売り成行注文を行えばとり合えず約定する確率が高くなります。
そのときに希望していた株価とは大きく離れた値段で約定することになる場合が多いと思いますが、それでも暴落時にポジションをクローズ出来たことを考えれば成行注文は最良の注文方法になります。
そのような売買の性格が、トレーダーの間では成行注文を「確実売り」と呼ぶ理由でもあります。
指値注文・逆指値注文・成行注文のまとめ
指値注文・逆指値注文は値段の設定が行えるが、成行注文では値段設定は行えない。
指値注文・逆指値注文は相場が荒れているときには約定しづらいが、成行注文は約定しやすい。
しかし成行注文は株価と大きく離れた値段で約定されるときがある。
- 「値段を優先して約定させたい場合は ⇒ 指値注文・逆指値注文」
- 「約定を早く優先させたい場合は ⇒ 成行注文」
となり、マーケットの状況によってそれぞれ使い分けることで注文から売買の効果を上げることが出来る。
指値注文の注意点
指値注文の注意点として、現在の株価が1000円のときに1200円になったら買いたいと思い1200円で買い指値注文をすると、株価が1200円以下の場合、約定してしまいます。
例えば、1000円とか900円、または1100円などで約定されてしまうと言うことです。
これは、「証券会社が投資家に対して少しでも安く株を買わせましょう」というサービスからの売買方式なのですが、投資家としては約定してしまってからでは何も言えません。
ですから、この場合は必ず1200円で買い逆指値注文を行わなければならないのです。(これは買い指値注文だけではなく、売り指値注文にも証券会社から同じ注文システムが適応されています。)
逆指値注文を面倒くさがり全てを昔のように指値注文だけで行える時代ではありません。
例え、投資方法によっては使わない注文方法だとしても株式投資・トレードをやる以上はこの逆指値注文を理解しておくことです。
トレードをしていて、逆指値注文をするはずが、間違えて指値注文をしてしまい「気づいたら意図しない株価で約定していた!?」なんてことを経験することがないように、読者さんはどうか注意してくだい。(私は2回ほど経験済みです^^)
(※指値・逆指値注文は証券会社の注文システムにより注文方法が論理的に間違っていると判断された場合は注文が執行されないことがあります。但し、すべての証券会社の注文システムを調べておりませんことを予めご了承ください。)
この指値・逆指値と証券会社のシステムについては、改めて【『逆指値・指値注文』の違いを”株の初心者”でも分かりやすく解説】でも詳しく解説していますので参考にしてください。
色々な成行注文の種類
東証のマーケットの営業時間は9:00~15:00までですが、成行注文には、寄付き、引けといった区切りのある時間を指定した注文方法があります。
- 寄付成行注文(寄成):寄付きで成行注文が執行される
- 引成行注文(引成):引けで成行注文が執行される
- 指値成行注文(不成):ザラバ中に指値注文が約定されないときに引けで成行注文が施行される。
この中で特にスイングトレードでよく使うのが寄付成行注文(寄成)になります。
使い方としては、寄付き前に日経平均先物が大きく暴落しているときに売り逃げをするために使います。
寄付き前の日経平均先物が大きく下落しているとき対処法は【スイングトレーダーの資産を守る『日経平均先物』の賢い見方・使い方】が参考記事となりますのでよろしければ読んでください!
また。別に高度な使い方としては、相場の引けの約30分前くらい前にそろそろローソク足の形が出来て来るときに明日の相場を見越して引成行注文(引成)からポジションを取る方法です。(この手法の詳しい解説は機会がありましたら記事にしていきたいと思います。)
まとめ
(※あくまでも大まかな仕分けになっていることを理解した上で参考にしてください)
売買手法 | 分析 | 投資期間 | 値段の設定 | 取引内容 | |
指値注文 | 逆張り | ファンダメンタルズ分析 | 長期保有型 | 可 | (主に) 現物株 |
逆指値注文 | 順張り | テクニカル分析 | 短期売買型 | 可 | 信用取引 現物株 |
成行注文 | どちらでもない | どちらでもない | どちらでもない | 不可 | どちらでもない |
追伸)
金融商品の規制緩和からネット証券が普及し安い手数料からのチャートを分析するテクニカルトレーダーが増えるにしたがって生まれたのがトレンドフォロー系と呼ばれる順張り手法です。
多くのテクニカルトレーダーは短期売買型のため信用取引からの売買を行いますので約3倍のレバレッジが効く分、同時に資金を効率よく回すことも必要となってきます。
そこで、株価は安いがいつ上昇するかわからないような銘柄を買って待つよりも、今既に上昇している銘柄を買って更なる上昇からの利益を狙うような順張りトレードを何度も行って行くのです。
このような時代背景が順張りで効果のある逆指値注文を生んだ要因と言われています。
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