以前から気になっていたことがあります?
それは、ナンピン(難平)はトレーダーにとって「善か悪か?」についてです。
私はそれまでナンピンはやってはいけないものと教えられてきましたので、その教えを貫いてきましたし私自身もその考えには納得してきました。
しかし、トレードをしているときにそれは起こりました。
チャートを分析中、あるポイントで買いのサインが出たのでポジションを取りました。
早速、損切(ロスカット)注文を同時に入れます。トレーダーとしては当たり前の行為です。
その後、株価は思ったようには上昇せずに下降していきましたが、それでも何とか損切ポイントまでは届かずに済みました。
しかしそこの株価のポイントは同時に買いのサインを出していましたので、投資資金からリスクも考えた上で更にポジションを取り同時にロスカット注文を入れました。
そして株価はロスカットにヒットすることなしに上昇トレンドに乗り全てのポジションでの利益を得ることが出来ました。
トレードは、勝つこともあれば、負けることもある…。
トレードとはそんな感じでしょうか!?
しかし、その後、ふとそのときのトレード内容を見直すと、2段階でのポジションの取り方は、紛れもない、私にとって『やってはいけない”ナンピン”』だったのです。
もちろん戦略的には間違ってはいなかったのですが…、
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Contents
ナンピンについて
計算式と平均取得額について
株価が320円のとき1000株買うと32万円で株を購入したことになります。
その後、思いに反して株価が下降していき株価が280円なると株式は28万円の価値になることで4万円の損失が生じることになります。
そこで、株価280円でもう1000株購入しますと28万円で株式を保持したことになり、最初に買った株と合わせて2000株の株式を保持したことになります。
2000株の内容は、
320円×1000株+280円×1000株=60000円となりますが、60000(円)÷200(株)=300ですから、これは300円で2000株を買ったことを意味します。
すなわち最初の約定単価320円に対して買い増しを行ったことで300円となり平均取得額を引き下げることになるのです。
この仕組みがナンピンです。
しかし、これだけを考えるとナンピンはデメリットよりもメリットの方がありそうに感じるかと思いますが、まず確認しなければならないことがあります。
それは『ナンピンにより平均取得額を引き下げても、まだ現状では4万円損していることに変わりがないこと』、
そして『当初は1000株のリスクで株を買いましたが、ナンピンをすることでもう1000株の投資リスクも生じているという事実も投資家として受け止めなければならないこと』です。
投資にはあらかじめのリスクは必要ですが、ナンピンのための投資リスクは違う意味で考えなければなりません。
すなわち、ナンピンから平均取得額を引き下げても実際の株価がその平均取得額に到達しなければ損失が0になることはないということです。
メリットとしてはナンピンにより買い増しをした分、株価が上昇することで利益が大きくなることです。
ナンピン後の例
では、ナンピンをした後に【株価が上昇した場合】と、【下降した場合】のそれぞれ損益について例を出して比べてみましょう。
先ほど株価が280円でナンピンをしましたので、それぞれその後、株価が70円上昇した場合と、70円下降した場合を例に計算します。
(350円-320円)×1000株=30000円 /(350円-280円)×1000株=70000円
⇒ 合計10万円の利益
・【株価が70円下降し210円になった場合】
(210円-320円)×1000株=-110000円 /(210円-280円)×1000株=-70000円
⇒ 合計18万円の損失
投資家によりそれぞれの考え方、捉え方は違うとは思いますが、それでも株価の下降からのナンピンはリスクがあると考えらます。
ナンピンの背景
ナンピンは一般的に「やってはいけない投資方法である」との意見の方が多いと思います。
多くの投資家・トレーダーは、株を始めるときにある程度誰かに投資方法を教えてもらった経験があるかと思いますが、
教える方としては、「勝つためのノウハウ」よりも先に、投資資金を守ってもらうためにも、まず「負けないためのノウハウ」を教えることが先決となります。
「負けないノウハウ」とは、損切を早めに行うこと、塩漬け株にしないこと、そしてナンピンをしないことになりますから、まだトレードについてわからないうちから「ナンピンはやってはいけないこと」と教えられてきているケースが多いと言えるのも確かなようです。
私もそのうちのひとりですが、しかし、ある程度トレードをしていきますと、以下のようなことが起こったりします。
戦略的ナンピントレード
上図は<7013 IHI>の日足のチャートです。
トレードの基本分析として移動平均線が上向きのとき、株価がその移動平均線を下から上に抜けたとき買いのポジションを取っていくことが基本売買になりますので、
株価が25日移動平均線を下から上に抜けたのでポジションを取りました。
買った株価は537円、損切は株価が下にある75日移動平均を上から下に割ってきたときに設定しました。
しかし、その後株価は上昇せずに下降してしまいましたが、それでも損切ポイントである75日移動平均線を下に割らずに済みました。
そこでまた分析すると株価が75日移動平均線に対して買いのポイント(下の黄色い丸)に来ていることに気づいたので更にもう1000株買い増しました。
75日移動平均線に対する”押し目買い”のような感じです。このときの損切ポイントも75日移動平均線に置きました。
その後、株価は順調に上昇してくれて、もみ合った560円あたりで全て売り決済をして利益を得ました。
これは移動平均線を使った基本のトレードですが…、
このトレード内容、冒頭でも話しましたように、「これは”ナンピンの買い方?”ですよね!」そうですナンピンです。
では分かりやすいように使用した移動平均線をチャート画面から削除してローソク足のみにしてみますと、
すぐにナンピンであることが分かります。但し今回のトレードでは損切注文も行っていることでただのナンピンとは意味が違う訳です。
このようにナンピンはしてはいけない売買方法だと理解しながら実はトレードの結果、ふたを開けてみるとそれは「ナンピンだった!?」なんてことは、トレーダーならば誰にでも起こることです。
もちろん買い増ししたときには、「これで平均取得額を引き下げ早めに損失をゼロにしよう」との思いから買い増しをした訳ではありません。
トレーダーの基本である移動平均線から分析をしていますし、株を買いポジションを得た後は損切注文も出しています。
主体的なトレーダーとそうでないトレーダーの違い
以上のことから、しっかりと分析をした結果、資金コストを考慮した上で損切注文を行っていれば、トレード内容がナンピンであっても全く問題ないということになります。
しかし初心者や無防備なトレーダーの場合は、「損切をしていない」、または「精神的に損切ができない」ケースもあり、その結果買い増しを重ねトレード内容がナンピンという形で株価の下落とともに損失を被ってしまう場合の方が多いようです。
これでは「下手なナンピン現金すかんぴん」と、投資資金までも“すかんぴん”にしてしまいます。
※ナンピンをするなら【しっかりコストを考えること】、そして【必ず損切注文をする】ということです。
そうすれば結果的にトレードに負けてもコスト計算上の資金は残るはずです。
しかし、中にはトレードに対して投げやりになったり、全く分析もしない損切もしない、また一発逆転を狙うトレーダーもいます。
トレードは分析によるお金のゲームです。「トレードという売買ゲームから降りてしまった最後の逆張り」それがナンピンという形になることだけは避けましょう!
まとめ
最後にナンピンのまとめとしまして
- ナンピン後に平均取得額を引き下げてもそれだけでは損失額は変わっていないこと。
- ナンピンは買い増し分の投資コストが同時に発生するという事実を受け止めること。
- ナンピンをしたあとは必ず損切を行うこと。
- 分析の結果、トレード内容がナンピンになることは気にしない。
- 損切ができない初心者はナンピンをしてはいけない。(損切が出来なければトレード自体やらないこと)
以上になります。
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