株式投資、トレードにおいてローソク足にできる「窓」とはその名前からして初めはちょっと戸惑う部分があるかと思いますが、内容を学べばそれほど難しいものではありません。
「窓」が生まれる原理を知ることで相場において「ダマシ」に合うことを避けることが出来るようになるだけではなく、トレードで活かすこともできます。
特に、日経平均株価の特徴の1つに「窓を開けて寄付くことが多い」ということがあるので今後トレーダーとして窓の性質をぜひ身に付けてトレードに活かしていきたいものです。
この記事では、《窓の基本》、《窓が作られる理由》そして《実践での窓の性質を生かしたトレード》について解説していきます。
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Contents
窓と実体
ローソク足の始値と終値の間を実体と呼び窓はこの実体どうしで考えていく指標になりますので髭は無視します。
ダウ理論やパーテーションなど、ローソク足の「高値」と「安値」を使った分析によるテクニカル指標が多い中、この窓の指標はローソク足の「始値」と「終値」を使った分析による指標です。
隣り合うローソク足の実体の間にできる空間が窓になります。
(※始値とは東証市場が始まる午前9時に付いた値段、終値とは市場が終了する午後3時に付いた値段)
窓の開け・埋め
窓開けとは実体どうしに空間があるとき、窓埋めとは実体どうしの空間がないときのことを言います。
また前日の終値に対して翌日の始値が上昇して始まる場合をギャップアップ、下降して始まる場合をギャップダウンと言います。
※このギャップアップ・ギャップダウンは、窓が作られる最初の段階として”株の持ち越しトレード”であるスイングトレードではとても重要なポイントです。(詳細は後述)
窓が作られる理由
では、終値による窓が作られる前にまずは始値であるギャップアップ・ギャップダウンについて考えていきます。
日本の株式市場の営業時間は午前9時から午後3時になります。この営業時間内では日経平均株価や個別銘柄は世の中の動きなど外部からの影響を受けることで株価の変動によるその日のローソク足が作られます。
トレードはこの市場の営業時間内で行うことになり、特にデイトレードなどはこの変動する株価にうまく乗ることで利益を狙って行きます。
では、株価というものは営業時間内だけで変動するものでしょうか?
実際には、市場の営業時間外であっても株価は動いているのです。もちろん営業時間外ということで投資家同士の売買が行われないため実際の値段は付きません。
しかし、株価は営業時間外であっても変動している証拠が一気に現れる形となるのが、翌日の始値に付く値段です。
それがギャップアップ、ギャップダウンとなって現れます。
そして、その後また営業時間内での株価の変動から終値がつけられそのとき隣り合わせのローソク足の実体どうしからその日の窓が作られるという流れになります。
ですので、寄付きでのギャップから始まり終値での窓を考えていく形となります。
ポイント
前日の終値 ⇒ 翌日の始値(ギャップアップ・ギャップダウン) ⇒ 終値でその日の窓が形成される
※特に日経平均株価の特徴として値幅のあるギャップから始まり窓を開けやすいチャートになります。
日経平均株価が窓をつけやすい理由
営業時間外での株価に対する影響の要因として特に大きいのがアメリカのダウ平均株価、またドル円為替相場の影響が挙げられます。また世界で起こる様々な動きなどにも大きく影響を受けます。
ダウ平均相場の営業時間は日本の株式市場の営業時間外である夜中から朝方にかけて行われ、またドル円為替相場は土曜日の朝方から月曜日の朝型以外はほぼ営業しています。(もちろんドル円為替相場は日本の株式相場の営業時間内においても影響を与えます。)
そして日本の株式はそれらの影響が織り込まれ始値が付くのです。
しかし日本の株式が外部からの影響を受けやすいのに比べて、ダウ平均株価は外部からの影響が少ないのかギャップアップ・ギャップダウンが少ないようです。
(これは”板寄せ方式”や”ザラバ方式”と呼ばれる売買の方法が日本とアメリカの株式市場では異なるためともいわれていますが、少なくともアメリカのニューヨークダウ平均市場は時価総額が最高峰の相場であることから他の市場よりは影響を受けずらいということは言えるでしょう。)
ですからトレードから日本株式を扱う以上、窓は避けては通れないと考えることが出来ます。
デイトレードとスイングトレードの違い
市場の営業時間内でトレードをするのがデイトレードですが、それ以外のスイングトレードや中長期の投資は株を持ち越すことになります。
スイングトレードなど比較的に短期売買であっても株を持ち越した場合、翌日の始値の時点で前日の終値との株価の差額がそのまま損益となります。
これがデイトレードと、それ以外の持ち越す投資の大きな違いになります。
デイトレードがその日のローソク足内の高値と安値の間でトレードをするのに対し、持ち越す投資は営業時間外の株価の変動も加味したトレードとなるのです。
窓の種類
窓には素人が作るものとプロが作りだすものがあります。この違いを理解することでトレードの質を高めていきます。
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素人が作り出す窓
個別銘柄が大きな値幅でギャップアップ・ギャップダウンを付ける理由として営業時間外での決算発表の内容やメディアによるニュースなどに対してそれを見た投資家が反応することで寄付き前に多くの成行注文が入るからです。
ですから強いギャップアップをともなうということはそれだけ買い注文が入った結果となります。
また、大きなチャートで見たときグランビルの法則の最終局面である2回目の終わり辺りや3回目にこの強いギャップアップからの窓を開けたローソク足が形成された場合は天井でのサインとも考えられます。
高値圏で株価が続伸するとそれがニュースとなり更に素人の投資家が飛びつき買いが入りますが、もうそのころには高値圏に入っている場合が多いことがよくあります。
日経平均株価はギャップや窓をつけやすいと言いましたが高値圏で窓を付けた強い上昇の場合には高値をつかまされないためにも注意が必要です。またそれは個別銘柄にも言えることです。
グランビルの法則についての解説はこちら(⇒ http://kabu-gensoku.com/text/text-granville/)
プロが作り出す窓(テクニカル転換)
プロとはこの場合、株価を動かすような資金力のある機関投資家等のことを指します。
大きなチャートで見るとトレンドが多数発生していますが、トレードの基本としてトレンド転換というものがあります。
このトレンド転換が行われるときにローソク足が窓を開けてトレンドラインを一気に抜けてくるような動きをともなう転換を「テクニカル転換」と言います。
相場には大きな流れとして1年間に何度か相場全体の方向が変化するようなときがありますが、このテクニカル転換の特徴として相場全体の流れを変えてしまうような場合がありますのでかなり強い動きと言えます。
機関投資家にとって何らかの事情から豊富な資金力でもってテクニカル転換が行われる訳ですが特に日経平均株価での窓を開けたテクニカル転換は相当な資金力がないと実行されません。
このテクニカル転換が実行されたときには大きな相場の流れの変化と捉えて相場を見直すことが重要です。
アイランドリバーサル(天空の城ラピュタ)
プロが作る窓にアイランドリバーサルがあります。形が似ているためかトレーダーの間では上昇での窓を開けたアイランドリバーサルのことを“天空の城ラピュタ“と言ったりします。(笑)
しかし、このアイランドリバーサルのようなチャートの形が現れたら基本的にはトレードをしない方が良いでしょう。
理由は機関投資家などの資金豊富なプロが一般の投資家を騙すために意図して作られている可能性があること、またアイランドリバーサルでは持ち合うことが多く例えその後株価が上昇しても資金効率の面ではあまり良くないことが挙げられます。
アイランドリバーサルでは機関投資家が一気に空売りをかけてくる場合があり、再度窓を開けて暴落する場合があります。
この場合、買いで入っていた素人の投資家が騙されることが多いです。
窓の性質を利用したトレード
窓が作られる理由としては上昇なら寄付き前に多くの成行買い注文が入る、下降なら多くの成行売り注文が入ることによるものです。
しかし実際には株価の適正価格よりも上昇・下降をしている場合があり株価はその適正価格に戻ろうとする動きから空いた窓を埋めようとすることがあります。
以上の原理から基本的には空いた窓は一度埋められようとします。
窓を利用したトレードとして空いた窓を埋められなかった場合のトレード、空いた窓が埋められた場合のトレードを行います。
開いた窓を埋められなかった場合のトレード
窓を付けたローソク足の実体の高値(この場合は終値)を下から上に抜けたら買いになります。
株価は一度空いた窓が埋められず再度上昇した場合、窓を開けたローソク足の実体を抜けると株価は抜けた方向へと動きやすいということから買いとなります。
開いた窓が埋められた場合のトレード
窓を付けたローソク足の実体の安値(この場合は終値)を上から下に割ったら売り(空売り)になります。
買いの場合とは逆に株価は一度空いた窓が埋められた場合、埋めたローソク足の実体を割ると株価は割った方向へと動きやすいということから売りとなります。
まとめ
最後にまとめになります。
- 『窓の開け・埋め』には始値でのギャップアップ・ギャップダウンから始まり、終値での窓が決まる。
- 日経平均株価は営業時間外であっても外部からの影響を受けやすい相場なので前日の終値に対して翌日の始値でのギャップの値幅が出やすくそのため窓を開けやすいということ。
- 日経平均株価はギャップの値幅が出やすいためスイングトレードなど持ち越しトレードはギャップの値幅が損益になるということ。
- グランビルの最終局面などの素人が作りやすい高値圏の窓や、プロが作るテクニカル転換での相場の大きな転換、アイランドリバーサルなどはそれぞれチャートの形を知り理解することでトレードに対し注意が出来る。
以上になります。
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